vbscriptとpowershellの違いは?スクリプト使い分けとコツについて比較ガイド、最新版を解説

業界知識

vbscriptとpowershellの違いは?使い分けとコツについて最新版を解説します。Microsoft OS Windowsのスクリプト言語で削除発表された標準搭載されているVBScriptは将来非推奨になり、2023年10月に発表されました。VBScriptで現在フリーランスをやっているエンジニアは実在しますが、VBScript1本の身で今後やっていくことは極めて困難であると言われています。

VBScriptとは

VBScript(Visual Basic Scripting Edition)について整理して説明します。

1. VBScriptとは

  • VBScriptは、Microsoftが開発した軽量のスクリプト言語です。
  • Visual Basicの文法を簡略化した形で、Windows環境での自動化や簡単なプログラム作成に使われます。
  • 拡張子は .vbs が一般的です。
  • Windowsに標準搭載されており、主に以下の用途で利用されます:
    • OSやアプリケーションの自動操作(タスクの自動化)
    • Internet Explorer上での簡易スクリプト(かつてはWebページの動的処理に使用)
    • システム管理用スクリプト(ログ取得、ファイル操作など)

2. VBScriptの特徴

特徴説明
軽量で簡単Visual Basicの文法に似ていて、初心者でも理解しやすい
Windows専用主にWindows環境で動作。MacやLinuxでは標準では動かない
コンパイル不要スクリプトとして実行可能。.vbsファイルをダブルクリックするだけで実行可能
用途は自動化中心Webブラウザ(Internet Explorer)やWindowsのタスク自動化が主な用途
GUI作成も可能Windowsのダイアログボックスやメッセージボックスを簡単に表示できる

3. VBScriptの利用例

  1. メッセージボックスの表示
MsgBox "Hello, VBScript!"
  1. ファイル操作
Set fso = CreateObject("Scripting.FileSystemObject")
Set file = fso.CreateTextFile("C:\test.txt", True)
file.WriteLine("Hello VBScript")
file.Close
  1. ループや条件分岐
For i = 1 To 5
    MsgBox "Number: " & i
Next

4. VBScriptの歴史

  • 1996年:MicrosoftがInternet Explorer 3向けにVBScriptをリリース
  • 2000年代:Windowsのシステム管理やOfficeの自動化スクリプトとして広く利用
  • 2020年代:セキュリティ問題やIEの廃止により、VBScriptは段階的に廃止・非推奨になりつつある

5. 注意点

  • セキュリティ上の理由で、最新のWindowsではデフォルトで無効化されている場合が多い
  • Web開発ではJavaScriptに置き換えられることがほとんど
  • しかし、レガシーシステムの自動化社内業務スクリプトではまだ利用される場合がある

PowerShellとは

PowerShellについて整理して説明します。

1. PowerShellとは

  • PowerShellは、Microsoftが開発した Windows向けのタスク自動化・構成管理用のスクリプト言語および コマンドラインシェル です。
  • 従来のコマンドプロンプト(cmd.exe)やVBScriptに比べ、より強力で柔軟な操作が可能。
  • 拡張子は .ps1 が一般的で、コマンドラインからの操作・スクリプト実行・システム管理に利用されます。
  • Windowsだけでなく、PowerShell Core(7系) は macOS や Linux でも利用可能になっています。

2. PowerShellの特徴

特徴説明
オブジェクト指向コマンドの出力が文字列ではなくオブジェクトなので、パイプで他のコマンドに渡して処理が容易
Windows管理に最適ファイル操作、レジストリ、サービス、イベントログ、ユーザーアカウント管理などが可能
豊富なコマンドレット700以上の組み込みコマンドレット(cmdlet)があり、システム管理やネットワーク操作が簡単
スクリプト自動化定期処理やバッチ作業の自動化に強力
クロスプラットフォーム対応PowerShell CoreではWindowsだけでなくLinuxやmacOSでも動作

3. PowerShellの利用例

  1. 簡単なメッセージ表示
Write-Host "Hello, PowerShell!"
  1. ファイル操作
New-Item -Path "C:\test.txt" -ItemType File
Add-Content -Path "C:\test.txt" -Value "Hello PowerShell"
  1. プロセス確認
Get-Process
  1. 条件分岐とループ
for ($i=1; $i -le 5; $i++) {
    Write-Host "Number: $i"
}

4. PowerShellの歴史

  • 2006年:Windows PowerShell 1.0 がリリース
  • 2010年:PowerShell 2.0でリモート管理やモジュール機能を追加
  • 2016年:PowerShell Core 6系が登場し、クロスプラットフォーム対応(Linux/macOSもサポート)
  • 2020年:PowerShell 7系(現行)がリリースされ、Windows PowerShellとの互換性維持しつつ機能拡張

PowerShellとVBScriptの基本的な違い

PowerShellとVBScriptの基本的な違いを整理すると、用途・機能・設計思想の面で大きな差があります。以下に表形式でまとめます。

1. 言語設計・実行環境

項目VBScriptPowerShell
開発元MicrosoftMicrosoft
初登場1996年2006年(PowerShell 1.0)
実行環境Windows専用(IEやWindows Script Host)Windows(PowerShell CoreではLinux/macOSも対応)
実行形式スクリプトファイル(.vbs)、ダブルクリックで実行可能スクリプトファイル(.ps1)、PowerShellコンソールまたはタスクから実行
言語タイプ手続き型スクリプト言語オブジェクト指向スクリプト・コマンドラインシェル

2. 主な用途

項目VBScriptPowerShell
自動化対象Windows OSの簡易操作、IEでのWeb操作、Officeの簡易自動化OS管理、ファイル操作、サービス管理、ユーザーアカウント管理、ネットワーク管理、DevOps
管理・運用基本的にスクリプト単体で処理コマンドレット(Cmdlet)による高度なシステム管理や自動化

3. データ・処理の仕組み

項目VBScriptPowerShell
データの扱い文字列中心、配列やオブジェクトは限定的オブジェクト指向、コマンド間でオブジェクトをパイプで受け渡し可能
変数・型Variant型中心、型指定はほぼ不要明示的に型指定可能、型安全性が高い
エラー処理On Error Resume Next で簡易的Try-Catch-Finally構文で高度なエラー処理可能

4. 学習・将来性

項目VBScriptPowerShell
学習の容易さ文法が簡単で初心者でも習得しやすい文法はVBScriptより複雑だが、現代の管理業務に最適
今後の利用IE廃止・セキュリティ問題で非推奨傾向現役・推奨、Windows自動化・クラウド管理でも利用増加
クロスプラットフォームなしPowerShell CoreではLinux/macOS対応

5. まとめ

  • VBScript
    • 軽量で簡単、Windows用の簡易自動化や古いWebスクリプト向き
    • 現在はセキュリティやサポートの観点で廃止傾向
  • PowerShell
    • Windows管理・自動化に最適化された強力なスクリプト言語
    • オブジェクト指向で、エラー処理や複雑な処理が可能
    • クロスプラットフォーム対応で将来性が高い

言語の構文と機能の違い

PowerShellとVBScriptの言語の構文と機能の違いを整理すると、設計思想の差が明確に表れます。以下に詳しくまとめます。

1. 基本構文の違い

項目VBScriptPowerShell
変数宣言Dim x
x = 10
$x = 10(型指定は任意)
データ型Variant型中心(文字列・数値混在可能)型安全性あり([int]$x = 10 など明示可能)
条件分岐If x > 5 Then … Else … End Ifif ($x -gt 5) { … } else { … }
ループFor i = 1 to 5 … Next
While x < 10 … Wend
for ($i=1; $i -le 5; $i++) { … }
while ($x -lt 10) { … }
コメント' コメント# コメント
関数・サブルーチンSub MySub() / Function MyFunc()function MyFunc { param($x) … }

2. データの扱い

項目VBScriptPowerShell
出力形式文字列中心(MsgBoxやEchoなど)オブジェクト指向(Get-Process など、オブジェクトとしてパイプで次のコマンドへ渡せる)
配列操作配列は簡易的(Dim arr(5)arr(0)=1配列やコレクションが豊富、オブジェクト配列も扱いやすい
パイプ処理なし(文字列処理中心)`Get-Process

3. エラー処理

項目VBScriptPowerShell
エラー処理On Error Resume Next(簡易的、全体に影響)Try { … } Catch { … } Finally { … }(局所的・高度な制御可能)

4. 外部オブジェクト・システム連携

項目VBScriptPowerShell
COMオブジェクト利用Set fso = CreateObject("Scripting.FileSystemObject")New-Object -ComObject Scripting.FileSystemObject
システム操作ファイル操作・レジストリ操作など可能だが限定的Windows管理全般(ファイル・サービス・ユーザー管理・イベントログ・ネットワーク設定など)
クロスプラットフォームなしPowerShell CoreではLinux/macOS対応

5. 主要機能の違い

機能VBScriptPowerShell
自動化基本的なタスク自動化、IE操作、Officeマクロの簡易スクリプトWindows管理全般の自動化、クラウド管理、DevOps対応
GUI操作MsgBox、InputBox程度WinFormsやWPFを利用可能(高度なGUI作成可)
標準コマンド限定的(FileSystemObject中心)700以上の組み込みコマンドレット(Get-Process, Get-Serviceなど)
ネットワーク管理限定的ネットワーク操作、リモート管理、SSH経由のLinux操作も可能

用途と実行環境の違い

PowerShellとVBScriptの用途と実行環境の違いについて整理すると、どの場面でどちらを使うべきかが明確になります。以下にまとめます。

1. 主な用途の違い

項目VBScriptPowerShell
自動化対象Windowsの簡易操作、Office操作、Internet Explorerでの簡単なWeb操作Windows OS全般の管理、ネットワーク管理、クラウド管理、サーバー運用、DevOps
スクリプト用途ファイル操作、メッセージ表示、簡易タスク自動化ファイル・フォルダ操作、サービス・プロセス管理、ユーザー管理、ログ収集、スケジュール管理
GUI操作MsgBoxやInputBoxなど簡易UIWindows Forms(WinForms)やWPFを使った高度なUI作成が可能
Web関連Internet Explorerでの簡単な操作REST APIやクラウド管理(Azure, AWS CLIとの連携)
対象ユーザー初心者向け・レガシーシステム管理IT管理者、システムエンジニア、DevOps担当者

2. 実行環境の違い

項目VBScriptPowerShell
対応OSWindows専用Windowsが主。PowerShell Coreでは Linux / macOS も対応
実行方法・ダブルクリックで .vbs ファイル実行
・cscript/wscriptコマンド
・PowerShellコンソール(powershell.exe
・タスクスケジューラから自動実行
・PowerShell Coreでクロスプラットフォーム実行
依存環境Internet Explorer、Windows Script HostWindows標準(.NET Framework / .NET Core)
セキュリティ制限近年のWindowsでは既定で無効化される場合あり実行ポリシー(Execution Policy)により制御。安全に実行可能

3. 適材適所のイメージ

  • VBScriptが向いているケース
    • 古い社内システムやIE依存の業務自動化
    • 簡易タスク・短期間の自動化スクリプト
  • PowerShellが向いているケース
    • サーバーやネットワーク管理、ユーザーアカウント管理
    • 複雑なタスクの自動化・ログ収集・クラウド環境管理
    • 将来的にクロスプラットフォーム運用も視野に入れる場合

セキュリティとサポートの現状

PowerShellとVBScriptのセキュリティとサポートの現状について整理すると、両者の扱い方や今後の利用可否が明確になります。以下にまとめます。

1. VBScriptのセキュリティとサポート

セキュリティ

  • 脆弱性が多く報告されていた
    • マルウェアやランサムウェアの標的になることがあり、IEやWindows Script Host経由で感染リスクがあった
  • 実行制限が厳しくなっている
    • 最新のWindows 10/11では、既定でVBScriptが無効化されることが多い
    • Internet Explorerの廃止により、Web用途での利用は事実上終了

サポート

  • Microsoft公式サポートは段階的終了
    • Windows 11以降や最新IE廃止環境では推奨されていない
    • 既存レガシーシステム向けに限定的に動作は可能だが、将来的な更新やセキュリティパッチは期待できない

💡 まとめ:VBScriptは セキュリティリスクが高く、サポートも縮小中。新規開発では推奨されない。


2. PowerShellのセキュリティとサポート

セキュリティ

  • 実行ポリシー(Execution Policy)で制御可能
    • スクリプトの実行可否を制御して、安全性を確保できる
    • 例:Restricted, RemoteSigned, AllSigned など
  • 署名付きスクリプトで安全性向上
    • 企業環境ではデジタル署名を用いたスクリプト運用が可能
  • マルウェア対策やセキュリティ更新が継続
    • 最新のPowerShell Core(7系)はクロスプラットフォーム対応でセキュリティ更新も継続されている

サポート

  • Microsoft公式により現役でサポート
    • PowerShell 7系(Core)はWindows・Linux・macOSで利用可能
    • 今後もWindows管理・クラウド管理向けに推奨されるスクリプト言語
  • コミュニティとエコシステムが活発
    • モジュールやスクリプト例が豊富で、問題解決や情報収集がしやすい

💡 まとめ:PowerShellは セキュリティが強化され、公式サポートも継続中。業務自動化やシステム管理に最適。


3. 両者の比較まとめ

項目VBScriptPowerShell
セキュリティマルウェア・ランサムウェアのリスク高い実行ポリシーや署名付きスクリプトで安全性向上
サポート状況既存レガシー向けのみ、縮小中現役サポート中、Windows管理・クラウド管理に推奨
今後の利用新規開発には不向き今後も利用価値が高く、クロスプラットフォーム対応

💡 結論

  • VBScriptはセキュリティリスクが高く、新規開発・運用は非推奨。レガシーシステム維持向け。
  • PowerShellはセキュリティ制御が可能で、Microsoftも公式サポートを継続。現代の業務自動化・システム管理に推奨。

どちらを選ぶべきか?

VBScriptとPowerShellのどちらを選ぶべきかは、目的・環境・将来性によって変わります。以下に整理します。

1. 選択の基準

① 利用目的

利用目的推奨言語理由
Windowsの簡易自動化(古い社内システム、IEやOffice連携)VBScript簡単で短期間のタスクに適している
システム管理、サーバー・ネットワーク管理、ユーザー・権限管理PowerShellWindows管理に最適化され、オブジェクト指向で高度な処理が可能
クラウド管理(Azure/AWS)やクロスプラットフォーム環境PowerShellPowerShell CoreでLinux/macOSも対応、クラウド管理に強い
長期的・将来的なスクリプト開発PowerShellMicrosoft公式サポートが継続中で安全性も高い

② 実行環境

環境適性
Windows専用・レガシー環境VBScript(既存システム維持用)
Windows標準環境 / Windows + Linux + macOSPowerShell(クロスプラットフォーム対応)

③ セキュリティ・サポート

項目VBScriptPowerShell
セキュリティ高リスク(マルウェア・IE依存)実行ポリシーや署名付きスクリプトで安全性確保
サポート段階的終了・非推奨現役・推奨、公式サポート継続

2. 総合的な判断

  • 新規開発・将来的な業務自動化やシステム管理PowerShell
    • セキュリティや将来性、クロスプラットフォーム対応を考慮すると圧倒的に有利
  • 既存のレガシーシステムや短期的な簡易タスクVBScript
    • 簡単だが、長期利用は推奨されない

💡 ポイント:

  • 「将来も使える安全なスクリプト言語」なら PowerShell
  • 「今だけ・古いシステムの維持」なら VBScript

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