Excel/AccessVBAプログラマーはオワコンなのか?その理由と将来性について最新版を解説します。VBAというととてもお手軽に作成ができるツールをイメージすることが多いのですが実態はどうなのでしょうか。
VBAの歴史について
VBA(Visual Basic for Applications)の歴史について、丁寧に整理してご説明いたします。
1. VBAの誕生と背景
- Visual Basic for Applications(VBA)は、マイクロソフト社が開発したプログラミング言語で、主にMicrosoft Office製品を自動化・拡張するために設計されました。
- VBAのルーツは、Visual Basic(VB)です。Visual Basic自体は1980年代後半に開発され、Windows向けの簡易アプリケーション開発を可能にした言語です。
- VBAは、VBの機能をOfficeアプリケーション内で利用できるようにした埋め込み型の言語として登場しました。
2. 歴史的なマイルストーン
(1) 1993年頃:初期の登場
- Microsoft Excel 5.0 / Word 6.0でVBAが導入されました。
- それ以前はExcelやWordにはマクロ機能はありましたが、言語としての柔軟性は低く、VBAの登場でプログラム的にOffice操作が可能になりました。
(2) 1990年代中盤:Office統合
- Office 97でVBAはOffice製品全体に統合され、標準マクロ言語として定着しました。
- VBAにより、ユーザーはExcelのセル操作やWordの文書編集、Outlookのメール処理などを自動化できるようになりました。
(3) 2000年代:機能拡張
- Office 2000〜2007では、VBAはより高度な機能に対応。
- 外部ファイル操作、データベース接続(ADO, DAO)、Windows API呼び出しなど、Officeだけでなくシステム連携にも利用可能になりました。
- この時期に企業の業務自動化ツールとしてVBAの利用が急増しました。
(4) 2010年代以降:現代
- Office 2010〜2019、Microsoft 365でもVBAは依然としてサポートされています。
- 一方で、Office JavaScript APIやPower Automateの登場により、Webベースやクラウド連携の自動化が可能になっています。
- そのため、VBAはデスクトップ型の業務自動化に特化した言語として位置付けられています。
3. VBAの特徴と歴史的意義
- Officeアプリ内での自動化を容易にした:ExcelやWordなどの操作をマクロ化し、業務効率化が可能になった
- プログラミング初心者にも親しみやすい:Visual Basicベースで文法が簡単、GUIと組み合わせやすい
- 企業の業務自動化文化を牽引:1990年代〜2000年代の企業のExcel・Access利用増加に伴い、VBAが標準的なツールとなった
4. まとめ
| 時期 | 主な出来事 |
|---|---|
| 1980年代末 | Visual Basicが登場、Windows向け簡易アプリ開発 |
| 1993年頃 | Excel 5.0 / Word 6.0でVBA導入、マクロ自動化が柔軟化 |
| 1997年 | Office 97でVBAがOffice全体に統合、標準化 |
| 2000年代 | データベース・システム連携機能拡張、企業で業務自動化に普及 |
| 2010年代以降 | Microsoft 365でもサポート、クラウド連携ツールとの併用が進む |
VBAの特徴について
それでは、VBA(Visual Basic for Applications)の特徴について丁寧に整理してご説明いたします。
1. Office製品と密接に連携できる
- VBAはMicrosoft Office製品(Excel、Word、Access、Outlookなど)に組み込まれたプログラミング言語です。
- Excelのセル操作やWord文書の編集、Outlookのメール処理などを自動化・拡張することができます。
- Officeアプリ内で直接コードを記述できるため、追加の開発環境が不要です。
2. プログラミング初心者にも扱いやすい
- Visual Basicベースで文法がシンプルであり、プログラミング初心者でも習得しやすいです。
- 変数宣言、条件分岐、繰り返し処理など基本構文が簡単で、Excelの関数や操作と連携しやすい点が特徴です。
3. マクロによる自動化が可能
- 定型業務や繰り返し作業を自動化できる点が最大の特徴です。
- 例:
- Excelでのデータ入力・集計・グラフ作成
- Wordでの定型文書作成
- Outlookでのメール送信や整理
- マクロを組むことで、人手で行う作業を一瞬で実行できます。
4. データベース連携・システム拡張が可能
- VBAからAccessやSQL Server、外部データベースへの接続が可能です。
- ADOやDAOを利用してデータ操作・抽出・レポート作成など、業務システムとしても活用可能です。
- Windows APIの呼び出しや他アプリケーションとの連携も可能で、業務プロセス全体を効率化できます。
5. 高度な処理の自動化・カスタマイズ
- マクロの自動実行や条件付き処理など、業務フローに応じた柔軟な処理が可能です。
- フォームやボタン、ユーザーインターフェースを作成することで、操作性の高い業務アプリケーションを作ることもできます。
6. 特徴のまとめ
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| Office連携 | Excel、Word、Access、Outlookなどの操作を自動化 |
| 初心者向け | 文法が簡単で学習コストが低い |
| マクロ自動化 | 繰り返し作業や定型業務を効率化 |
| データベース連携 | AccessやSQL Serverなどのデータ操作が可能 |
| 高度な処理 | 条件付き処理、フォーム作成、業務アプリ構築も可能 |

VBAは本当にオワコンなのか?その真実を探る
それでは、「VBAは本当にオワコン(終わった技術)なのか」というテーマについて、現状の事実と将来性を踏まえて整理してご説明いたします。
1. 「VBAオワコン説」の背景
近年、VBAに対して「オワコン(終わった技術)」と言われる理由はいくつかあります:
- クラウド化・Webアプリ化の流れ
- Office 365やGoogle Workspaceの普及により、ExcelやWordのクラウド版での自動化は、VBAではなくOffice ScriptやJavaScriptベースになってきています。
- PythonやRなどモダン分析ツールの台頭
- データ分析や機械学習では、PythonやRの方がライブラリ・フレームワークが豊富で、新規分析プロジェクトではVBAが使われにくい状況です。
- Microsoft自身の新技術推進
- Power AutomateやOffice Scriptsなど、新しい自動化ツールが登場しており、クラウド中心の自動化ではVBAよりも新技術が推奨される傾向があります。
これらの理由から「VBAは時代遅れ」と言われることがあります。
2. しかしVBAは完全にオワコンではない
(1) 依然として膨大な既存資産が存在
- 多くの企業でExcelやAccessのVBAマクロは数十年にわたって業務自動化に活用されており、膨大な資産があります。
- これらを維持・改修するために、VBAスキルは依然として需要が高いです。
(2) 即戦力としての強み
- ExcelやAccess中心の業務で、VBAを使って日常業務を自動化する能力はすぐに成果を出せるため、新規ツールの習得に比べて短期間で価値を発揮できます。
(3) 小規模業務・社内ツールでは圧倒的な効率化力
- VBAは社内のExcel/Accessベースの業務改善に最適で、複雑なシステム開発を行わずに効率化できる点が強みです。
3. 将来性とキャリア戦略
(1) VBA単体だけに頼るのはリスク
- クラウド・Web対応やAI分析などの分野では、VBA単体では不十分
- 将来的にはPythonやPower Automate、Office Scriptsとの併用が市場価値を維持するカギです。
(2) VBAスキルを活かす方法
- 既存業務の効率化・保守:企業のExcel/Access自動化案件
- VBA+モダン分析スキル:Python/R、Power BI、クラウド分析との連携
- 自動化コンサルタント:社内ツール改善、効率化提案、教育・トレーニング
VBAと他のプログラミング言語の比較
それでは、VBA(Visual Basic for Applications)と他の代表的なプログラミング言語を比較し、特徴や利用シーンの違いを整理してご説明いたします。
1. VBAとPythonの比較
| 項目 | VBA | Python |
|---|---|---|
| 主な用途 | Excel/Word/Accessの自動化、社内ツール作成 | データ分析、Web開発、AI/機械学習、業務自動化 |
| 学習難易度 | 初心者向け、簡単な文法 | 初心者向けだが幅が広く応用範囲が大きい |
| 自動化・業務効率化 | Excel/Officeに密接、マクロ作成が容易 | Excel自動化は可能(openpyxl, pandasなど)だが設定が必要 |
| データ分析 | 基本統計やグラフ作成可 | 高度な分析や機械学習まで対応可能 |
| 実行環境 | Officeアプリ内 | PC、サーバー、クラウド、Jupyter Notebookなど |
| 将来性 | デスクトップ業務自動化で安定 | データサイエンス、AI、クラウドなど幅広い用途で拡張性大 |
2. VBAとRの比較(統計解析用途)
| 項目 | VBA | R |
|---|---|---|
| 主な用途 | Excel/Accessマクロ、業務効率化 | 統計解析、データ可視化、機械学習 |
| 統計機能 | 基本統計は可能だが限界あり | 高度な統計手法・解析ライブラリが豊富 |
| グラフ作成 | Excelのグラフを活用 | ggplot2など高度な可視化が可能 |
| データ規模 | Excelのセル上限まで | 大規模データ解析にも対応 |
| 学習コスト | 低い | 中程度~高い(統計知識も必要) |
| 導入環境 | Office内 | RStudioやサーバー環境 |
ポイント
- VBAは業務効率化向け、Rはデータ解析・統計向け
- データ分析の専門性を高めるなら、RやPythonとの併用が効果的
3. VBAとJavaScript(Web自動化・Office Script)
| 項目 | VBA | JavaScript/Office Script |
|---|---|---|
| 主な用途 | デスクトップOffice自動化 | Webアプリ、クラウド版Office自動化 |
| 実行環境 | デスクトップ版Office | Office 365(Web版Excel/Word)、ブラウザ、Node.js |
| クロスプラットフォーム | 基本Windows/Officeのみ | Windows/Mac/Webブラウザ対応 |
| 将来性 | デスクトップ業務に特化 | クラウド・Web中心の自動化で需要増加 |
| 学習難易度 | 低い | 中程度(言語仕様が広い) |
ポイント
- デスクトップ業務自動化ならVBAが即効性あり
- クラウド・Web中心の環境ではJavaScriptやOffice Scriptが推奨される
4. VBAとC#(業務アプリ開発)
| 項目 | VBA | C# |
|---|---|---|
| 主な用途 | Excel/Word/Access自動化 | Windowsアプリ、業務システム開発 |
| 開発規模 | 小規模、社内ツール | 中~大規模アプリ、システム全般 |
| 学習コスト | 低い | 中~高い |
| 保守性 | マクロ単位で保守しやすいが規模が大きくなると複雑 | 体系化された構造で大規模開発向き |
| 実行環境 | Office内 | Windowsアプリ、サーバー環境 |
ポイント
- VBAは小規模業務改善向け
- C#は本格的な業務システム・アプリ開発向け

VBAの未来と学ぶべきスキル
それでは、VBAの未来と、今後VBAスキルを活かすために学ぶべきスキルについて丁寧に整理してご説明いたします。
1. VBAの未来
(1) デスクトップ業務自動化では依然需要あり
- 企業の多くはExcelやAccessを中心とした業務自動化の仕組みを既に構築しており、VBAマクロはその中心ツールです。
- 日々の集計、レポート作成、帳票作成など、小規模~中規模業務の効率化においてVBAの価値は依然高いです。
(2) クラウド・Web環境では新しい自動化ツールが主流
- Office 365の普及やクラウドサービスの拡大により、Office Scripts(JavaScriptベース)やPower Automateなどが新しい自動化手段として注目されています。
- 将来的には、VBAはデスクトップ環境限定の技術として位置付けられる可能性があります。
(3) 保守・既存資産の価値は長期的に残る
- 既存のVBAマクロ資産は膨大で、維持・改修のニーズは数十年単位で続くと予想されます。
- つまり「新規プロジェクトでVBAを選ぶ機会は減るが、既存資産の運用・改善で需要は残る」という構図です。
2. VBAを活かすために学ぶべきスキル
(1) デスクトップ業務自動化スキルの深化
- マクロ作成・自動化の応用
- 条件分岐やループ処理の活用、複雑なレポート作成
- マクロの保守・効率化
- コードの可読性向上、エラー処理、パフォーマンス改善
(2) 他の分析・自動化言語との連携
- PythonやR
- データ分析や機械学習、膨大なデータ処理の自動化
- VBAでは苦手な大規模データや高度統計に対応可能
- Power Automate / Office Scripts
- クラウド環境での自動化、Web版Officeの処理
- 将来的にクラウド連携の自動化案件で役立つ
(3) データベース・SQLスキル
- AccessやSQL Serverとの連携
- VBAからデータベースを操作して帳票・分析レポートを作成
- データ活用の幅を広げる
(4) 業務知識・分析スキル
- Excel関数・関数設計能力
- VBAとExcel関数の組み合わせで高度な自動化が可能
- 業界知識(金融・医療・製造など)
- VBAスキルだけでなく、業務知識を活かすと市場価値が高まる
3. 今後のキャリア戦略
- VBAで即戦力スキルを確立
- 既存業務自動化やマクロ作成・保守で成果を出す
- VBA+Python/Rやクラウド自動化のスキル追加
- 新規分析・業務自動化プロジェクトでも対応可能
- 業務知識・分析力を組み合わせる
- VBA+業界知識で「単なるマクロ作成者」から「業務改善のプロ」へ
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